不慣れな距離

澄慶は体全体が震えた。学友の熱い息が耳から入り、体の隅々まで満たされる気がした 。澄慶は学友をベッドに押し倒し馬乗りになった。学友も無理やり 声を押し殺そうとしたが、我慢すればするほど、声じゃない声が漏れた。その声に 澄慶は一段と興奮し、学友の上着の中に手を入れた。ひんやりとした手が学友の 鎖骨から、じわじわと下がり乳首の所で止まった。学友は思わず声が出てしまった。
「うっ・・・あっ・・」
「我慢しなくてもいいよ」
挑発的な澄慶の攻撃に身をくねらせた。学友の乳首が固くなるのを確認すると、 澄慶は、シャツをまくりあげ、学友の胸に顔を埋めた。
「学友大好きだよ」
「うっ・・・澄慶・・そ、そこは・・」
学友は自分の胸が濡れているのを感じた。
「澄慶泣いているのか?」
「いや・・・何でもない。気にしないで・・・ごめん」
学友ははだけたシャツを元に戻し、澄慶を抱きかかえベッドの上に座らせた。
「今日のお前・・・いつもと違うぞ。俺でいいのなら話を聞かせてくれないか?」
「いつも?・・・いつもの俺って、どういうのがいつもの俺なんだろう・・ 自分でも分からなくなってきたよ」
「本当に変だぞ。さっきお前を追いかけてきた奴らも・・・」
「お、俺・・・学友の事本当に大好きなんだ。だから学友には話したくない。きっと嫌われる」
「何言ってんだよ!怒るぞまじで!!俺は・・・俺は・・・心配なんだよ!お前のことが!」
「いや学友が考えている事と、きっと世界が違う・・・絶対俺の事嫌いになるよ・・・」
「絶対って言うなよ!!お前一人で悩むな!」
「ありがとう学友。学友がいるから、俺今生きてるんだと思うよ。戻れるなら、 自分のありのままでいた頃に戻りたいよ」
そう言うと澄慶は、子供のように泣きじゃくった。自然に学友はそっと澄慶の肩に手を回し 、自分の元へ引き寄せた。
沈黙が流れ、2時間は過ぎただろうか。澄慶の泣き声も聞こえなくなり、学友はそっと澄慶の顔 を覗きこんだ。 泣きはらし、瞼が赤く腫れていた。すーすーと静かな寝息を立て澄慶は学友の腕の中に 身を預け眠っていた。学友も安心し、澄慶を起こさないようにそっと空いている左手を 伸ばし、枕を取った。頭を枕の上に乗せると学友は自分の腕をすっと抜いた。 靴を脱がせ、細い足首を持ってベッドの上に乗せた。いかにもラブホテルチックなピンクのサテンの 布団を掛けた。学友は壊れ掛けの椅子に腰を下ろした。腰掛けた瞬間ぎぃーと、古い椅子特有な 音が出る。学友が慌てて腰をあげ、澄慶の顔を見た。澄慶が腫れぼったい目を半分だけ開けて こちらを見ていた。
「ぷっ・・・くっくっくっく・・」
「何笑ってんだよ・・寝てろよ!」
「だって学友・・・その格好・・・ははは」
学友は自分の姿に目をやると、妙な中腰でおじいさんのようだった。学友も自分自身で可笑しくなり、 ははははと笑うと澄慶も一緒になって大笑いした。
「なぁ澄慶、俺お前と出会ってそんなに経っていないけど、本当に久々に大事にしなきゃって 思える友達が出来たと思うんだ。だから、お前が泣いていたり、笑っていたりしたら、一緒に泣いたり 笑ったりしたいって、お前のことたくさん知りたいって思うんだ。変かな?」
「彩袋だったら変って言うかも。俺的には全然変じゃない、むしろ嬉しいよ。俺もいろんな学友を見たいし、知りたい」
「だから、もしお前が俺に相談して来たりしたら、俺も真剣に考えるよ。だから何かあったら 遠慮しないで俺に話して欲しいんだ。ただ、さっきみたいに無理強いは絶対しないから。
お前が話したいことだけ話してくれればいいよ」
「うん、何かあったら真っ先に学友に言うよ。ありがとう」
澄慶は嬉しすぎて、またじわっと涙が浮かんできたが、学友に知られないように天井を見つめ、 瞬きをたくさんした。部屋の上、両サイドから女の喘ぎ声が、コーラスのように流れてきて 、二人は顔を見合わせまた笑った。


−続く−
はぁ・・・やっと出来た。遅い( ̄△ ̄#) 一ヶ月以上かかってるし。
みなさん「夜長夢多」ですよぉ!覚えていますか?
本当にアップ遅くなってすみませんでしたーm(;∇;)m
−JOAこめんと−
はぁ苦手なジャンルがやっと終わったヽ(°◇° )ノヽ( °◇°)ノ
この後はよろしく頼みます。苦手な人間が書くよりも、得意な人間が 書いたほうがいいと思うぞ。しかし・・・・難しいわ・・ JOA上−2001/Feb/05


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